主人公
「主人公」という言葉は、ドラマやアニメの「主役」という意味で使われますが、実は「禅」の大切な教えを伝える言葉でもあります。
禅の教えで「主人公」とは、「自分の本来あるべき姿」のことです。「本来の自己」とか「本来の面目」なんて言ったりもします。仏教では、誰もが仏さまと同じように、「相手への思いやりの心を持ち、違いを認め合って生きることのできる力」が具わっていると教えています。その素晴らしい力に気付き、それを実践して生きる姿が「自分の本来あるべき姿」です。
しかし私たちは、自分が「主人公」であることを忘れがちです。他人と自分を比べて嫉妬したり、自分が持っていないものを相手が持っていると羨ましいと思い、持っていないものばかりを探して落ち込んだりします。何故そのような感情に振り回されてしまうのかというと、自分ではなく相手を自分の人生の「主人公」にしてしまっているからです。
誰かと自分を比べるとき、人は自分の本来の姿を見失いがちです。周りの目を気にして、どうせ自分はダメだと卑下したり、自分の方が優れていると慢心したり、無理な背伸びをして小さな嘘をついてしまったりしてはいないでしょうか。これらのことは、全て相手を基準にしてしまっている結果です。相手基準で自分は何点なのか点数をつけている状態です。そして、相手よりも一段上に立っていたいという欲が自分の心を乱してしまうのです。
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