永泉寺(えいせんじ)

さいたま市西区三橋にあるお寺、永泉寺は天正16年(1588年)に開かれました。坐禅の心で、日々の生活を丁寧に過ごしていくことを大事にする、曹洞宗(そうとうしゅう)のお寺です。

初代の住職は、本寺である普門院(大成町)の10代目住職 忠安春恕大和尚さまです。現在の住職は31代目、約430年の歴史があります。

本尊 十一面観世音菩薩

永泉寺のご本尊さまは、「十一面観世音菩薩」さまです。「じゅういちめんかんぜおんぼさつ」と読みます。「観音さま」のことです。

観音さまは、「音を観る」と書きます。「音」とは「人々の心の声」のことで、私たちの悩みや苦しい気持ちを「いつでもどこでも見守り、寄り添ってくれる仏さま」ということです。

十一面観音さまには十一の顔があり、常に全ての方角を見ています。観音さまはいつも、慈しみの眼で私たちのことを見守っているのです。

ご本尊さまの厨子の扉は普段閉じてあります。12年に一度、午年の11月3日に御開帳の法要を行い、その時期だけご本尊さまのお姿をお参りすることが出来ます。

曹洞宗 道元禅師と瑩山禅師

永泉寺は曹洞宗(そうとうしゅう)のお寺です。

鎌倉時代に道元禅師(どうげんぜんじ)がその教えを中国から日本に伝え、
瑩山禅師(けいざんぜんじ)が全国に広め、日本における曹洞宗の基礎を築かれました。

曹洞宗は「坐禅」の教えを大切にしています。坐禅の実践によって得る身と心のやすらぎが、そのまま「ほとけの姿」となります。日々の生活を丁寧に行い、互いに生きる喜びを見いだしていくことが、曹洞宗の目指す生き方です。

曹洞宗では、他の仏教宗派でいう宗祖(宗派の創始者)が二人います。「道元禅師」と「瑩山禅師」です。

道元禅師は、中国へ渡り仏法の真髄である「禅」を究めて日本に持ち帰りました。

瑩山禅師は、道元禅師から数えて4代目にあたり、北陸地方を中心に曹洞宗を教団として確立しました。また、瑩山禅師は優秀な弟子を多く育て、その弟子たちが日本各地に教えをひろめ今日の曹洞宗の礎となりました。

曹洞宗では、道元禅師と瑩山禅師のお二人を「両祖(りょうそ)」とし、本尊の「お釈迦さま」とともに「一仏両祖(いちぶつりょうそ)」としておまつりしています。

釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)

曹洞宗は、お釈迦さまの「坐禅修行による悟り」を仏教のはじまりとしています。ですから、曹洞宗の本尊さまは「お釈迦さま」です。

お釈迦さまのことは、「釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)」とお呼びします。

【釈迦】=お釈迦さまの出身部族名
【牟尼】=賢者・聖者
【 仏 】=ブッダ・真理を悟った者

という意味です。

お釈迦さまに手を合わせるときは、「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」とお唱えします。【南無】=帰依する・信頼する・心の支えにする、という意味です。

 
「南無釈迦牟尼仏」
「私はお釈迦さまを信頼し、その教えを心の支えにして生きていきます」
 
お釈迦さまは「すべての人が仏になれる」という教えを示しました。ですから私たちは、信仰の対象として手を合わせるだけでなく、あこがれの目標として、その生き方をお手本にし、仏さまのように生きることが大切です。