4つの心得、4つの実践

今回の掲示板は、道元禅師のお言葉です。
 

布施(ふせ)・愛語(あいご)・利行(りぎょう)・同事(どうじ)


 この4つの言葉は、仏さまの生き方をあらわしています。また、この4つの実践を通して、仏さまは人々を導くと言われます。ですから、仏さまのように生きたい人は、この4つを心がけ、実践していくことが大切です。 
 

「布施とは、喜んで分け合うこと」
 

 道元禅師は、「布施とは貪らないことである」と言っています。貪らないとは、独り占めしないことです。独り占めせずに、分け合うことです。お金や物だけでなく、時間や気持ちなど、自分の生活を振り返った時に、何か余裕のあるものはないでしょうか。その余裕、自分にとって余っているものを誰かに分けてあげることが布施の行いです。時間に余裕があれば、誰かのためにその時間を使ってあげる。気持ちに余裕があれば、悩みのある人の話を聞いてあげて自分の心を相手に分けてあげる。笑顔で相手に話しかけることも布施につながります。笑顔を見ると安心します。安心な気持ちを施すのです。そして、布施において大切なことは、見返りを求めないことです。仏さまは見返りのことを考えません。相手のことを思い、喜んで分け合うのです。


「愛語とは、思いやりの気持ちで話すこと」
 

 愛語とは、相手に対して慈しみの心を持ち、思いやりのある言葉をかけてあげることです。素晴らしいことしている人はよく誉め、褒められない様なことをしている人には憐れみの気持ちで言葉をかけます。愛語によって「思いやりの種」を相手の心に植えるのです。その種がいつかその人の心の中で芽を出し、思いやりの気持ちが育ち、優しい言葉として出てくるのです。そしてその言葉は、人を安心させてくれます。言葉掛け一つで相手の気持ちや行動を変えることができる。言葉には、そのような大きな力があることを知るべきだと、道元禅師は伝えています。


「利行とは、人の為になる事をすること」
 

 利行とは、利他行(リタギョウ)とも言い、他人の利益になる行いのことで、自分の行いが誰かの手助けになるように心がけることです。「愚かな人は、他人の利益を優先すると自分は損をしてしまうと考えるが、そうではない」と道元禅師は言っています。仏さまの行いは全ての人を救います。自分が誰かのために行動する時、それは人を助けると同時に、自分も仏さまに見守られているのです。仏さまの行いは全てを包みこんでくれるものなのです。


「同事とは、相手の気持ちを感じること」


 同事とは「違わないことである」と道元禅師は言っています。自分と相手は違わない、同じであると感じることです。しかし、相手と全く同じ気持ちになることはとても難しいことです。それでも、相手の気持ちを感じようとすることが大切なのです。私たちは、自分の力だけで生きているわけではありません。他者との関わりの中で自分は生かされているのです。だからこそ、お互いを尊重し合うことが大切になってきます。では、相手の何を尊重するのか。人それぞれ、出来ることや苦手なこと、良いところや足りないところがあります。自分がマイナスだと感じている部分は、あまり他人に見てほしくないですし隠してしまいがちです。その苦手なことや足りないところを、互いに補い合い、支え合って生きているのが私たちです。自分に苦手なことがあるように、誰もが人に見られたくないものを抱えて生きているのです。相手も自分も違わないのです。だからこそ、互いを思いやり、相手の気持ちを感じて生きていくことが大切なのだと思います。相手の気持ちに寄り添っている瞬間が、自分が仏さまである瞬間なのです。自分と仏さまも違わないのです。


 以上の4つの言葉、「布施・愛語・利行・同事」を実践しているのが仏さまの生き方であり、私たちもその真似をしていくと、仏さまに近づけるのではないでしょうか。



曹洞宗 永泉寺

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